クラウドファンディングから気づく、新しい価値観の形
「考えるな、感じろ!」
先日の話になるが、インド時代にインターンをしてくれていた後輩から連絡がきた。
顎の尖った彼は、決して器用ではないが、大きな大きな貢献をしてくれたし、何度も何度も一緒に酒を飲んだ、そんな仲である。
そんな彼は、大手情報系の難関起業より内定をもらい入社をしたが、どうしても起業したいがために半年足らずで退職をしたいという事であった。
「やりたい事があるんです!」
と熱心に電話口で語る声を聞いて、「やったらええんちゃうの?」と湿り気のない返事をした気がする。それでも応援している事には間違いない。
そんな彼からの2度目の連絡は、起業を実現させるという内容のものであった。
兼ねてより宣言をしていた、アフリカで起業をするという。なんと素晴らしい若者か。
長くお礼を伝えてくれているメッセージに、感動を覚える一方で、文の後半に私には目新しい提案があった。
本当に厚かましいお願いなのですが、早瀬さんに3万円支援して頂きたいです! 僕の初めての上司は早瀬さんで、しかもインドの代表から毎日叱られていたかと思うと、ほんと自分はラッキーです。現地の人とのかかわり方、仕事の仕方を身近にたくさん学ばさせていただきました。 それを今度はケニアの人と一緒に実践していこうと思っています!ほんと未熟ですが、できることからやっていこうと思います!
ーーーーん?
この「3万円支援してもらいたい!」という直接的な嘆願が、私には全く新しく、少しだけ理解の範疇を越えかける。一体なんで3万円を支援するんだろうか…
「あのー、俺は3万円払ったら、一体何がもらえるんやろか?」
1日自由券です!!ケニアでできることは何でもします!
https://camp-fire.jp/projects/view/43989
3万円を支援したら、彼のケニアでの一日をもらえるという事。ケニアで市場調査を依頼してもいいし、ツアーガイドをお願いをしてもいいらしい。
一日で3万円、肉体労働などをすれば稼げない事もない金額である。
送られてきたクラウドファンディングの記事を熟読してみる。
内容を見る限り、「ケニアで牛乳屋さんがやりたい」らしい。フレッシュなミルクを、現地の人に配達で届けるサービスをやる模様。それをやると助かる人がいるらしい。
で、この事業に自分の想いが重なるかと言うと、残念な事に全く重ならない。
ケニアで牛乳屋をやりたいと、私は残念ながら全く思わないのである。
フレッシュなミルクが飲みたいなら、私にはマザー牧場がある。
さて、ここまでを纏めてみようと思う。
- 彼は3万円の支援をして欲しい
- その見返りは、彼のケニアでの一日自由権
- 3万円は貸すわけではなく、支援、つまり進呈をするという事
- 投資商品ではないので、お金が大きくなって返ってくる訳ではない
- 牛乳屋さんをやりたい気持ちは、私にはない
ここまで整理をしてみると、私には3万円という大金を支援する理由が乏しい。
頭で考えて、あるべきはずの何かを探しても、見つからないのである。
ーーーしかし、私は支援を決めた。
というよりも、最初から支援をする事は決まっていた。
「好き」という感情だけで、十分理由になる。
知識や経験が少なからず人を形成していくのは間違いないが、それと同時に、その知識や経験が勝手に一つの価値観を作ってしまっている。この価値観というやつが、感覚を思いっきり妨げてくるのである。
今回の件でも、わざわざメリットーとか、理由ーとか、リターンーとか、そういうのを考えている。どこかで「そういうのが必要」って価値観が刷り込まれている。それが何故か、どこから来たのかは分からないけど。
それでも、私が、彼に支援をすると決めた理由は、
「イイネ、その事業、将来有望ダネ」とか、
「事業内容はともかく、君という人間に賭けてみるよ!(ドヤ」とか、
「事業が成功したら、株式を譲ってくれるね?(ムフフ」とかでもなく、
ただただ、単純に、「彼の事が好きだから」である。
そこに対する支援金額は、自分の台所事情と相談をすればいいだけでしかない。
この好きという感覚だけで、理由としては十分である。
にも関わらず、いちいち頭で考えて、これまでの価値観で判断をしようとしてしまっている事に気づく。
感覚で判断をすればいいものでも、頭で考える事によってストップしてしまう。
普通はそう!一般的にはこう!世間体が悪いのでどう!とか、気づいてる人はもう辟易してる。
悪い事だと決めつけて報道をするメディアにも辟易してる。
辟易してるので、そうゆうのどうでもよくなる、そんな時代が迫っているような気がする。これからは、そう変わっていくんだと思う。
ケニアで一日中、一緒にお酒を飲める日を楽しみにしてる。
頑張れ、ダイキ。
ケニアで牛乳屋さんになって、おいしくて、お手頃価格の牛乳を届けたい!
https://camp-fire.jp/projects/view/43989